逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 正午にはプロットが完成した。これを広瀬さんにチェックしてもらったら、すぐにドラフト作成に入ろう。

 次の課題は……「絶望」について、だ。

 私は両手で顔を覆い、天井を仰ぐ。主人公の絶望を、どうやって表現すればいい? 悲しみの深さを、どうやって言葉に落とし込めばいい……?

 だけど、目を閉じるとまず浮かんでくるのは、蓮さんの笑顔だった。それから、蓮さんの眼差し、かすれた声、息遣い、そして肌を這う唇と、熱くて甘い舌……。

 私は両頬をピシャリと叩いた。隣の席の青木くんが驚いた顔でこちらを見ている。

「どうかしたんすか?」

 私は「なんでもない」と言って、笑ってごまかした。

 自分が、耳まで赤くなっているのがわかった。職場で何を考えているんだ、私は……。

 だけど本当に、今の私には幸せしか浮かんでこなかった。どうしよう、時間がないのに……どうすればいい?

 そんな自問自答さえ、意識の上っ面を滑り落ちていく気がした。だめだ、今の私は、かつてないくらい浮ついている。
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