逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 車はエルネストEP社のビルに近づいてきた。

 一等地に立つ8階建ての自社ビルで、景観樹を活かした空間デザインは、建築雑誌などでも時折取り上げられている。ビルの前は広々とした広場になっていて、都心の喧騒を忘れさせるような、落ち着いた雰囲気だ。

 車は、広場前の道路にさしかかったところで、赤信号に止まった。広場にあるクリスマス仕様のシンボルツリーを見て、そういえばもうすぐ自分の誕生日だということにふと気づいた。

「あ、出雲くん」

 独り言のように広瀬さんが呟く。私が視線を向けると、確かにコート姿の蓮さんが、ツリーの方へ歩いていくのが見えた。

 嬉しさで思わず口元がほころぶ。声をかけたいけれど、さすがに目立ってしまうだろう。

 彼はツリーの前まで来ると、アイボリー色のチェスターコートを着た女性に話しかけた。活動的な雰囲気の、とてもきれいな女性だ。
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