逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 次の瞬間、彼女は嬉しそうに笑って……蓮さんの首に抱きついた。蓮さんも、大切そうに彼女を抱きしめ返す。

 ……え?

 胸の奥に氷を当てられたような痛みを感じて、息が凍りついた。今のは……何?

 目の前の光景が現実だと信じられなかった。頭が真っ白になって、何も考えられない。

 広瀬さんが小さく舌打ちをし、険しい顔つきで「男ってやつは……」とつぶやいた。

 信号が青に変わり、車は再び走り出す。私は何もできず、助手席から振り向いて、目で彼らの姿を追うことしかできなかった。

 女性は蓮さんの腕に自分の腕を絡め、寄り添い、楽しそうに笑いながら歩いていく。

 ──ごめん──。

 どうしてだろう、あのときの蓮さんの囁きが、急に蘇ってきた。
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