逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 黙っていると、広瀬さんが聞いた。

「手帳、家に忘れたのよね?」

 私は頷いた。

「それなら、急に手帳が必要になったから取りに来た、と言えばいいわ」

 私は広瀬さんに尊敬の眼差しを向けた。実際、あの手帳は必要なので、嘘にもならない。

「広瀬さん……さすがです!」

「もしかして、来る前に連絡しろとか言われてる?」

 私は頷いた。「さっきのLINEに、事前に連絡をもらえると嬉しいって書いてありました」

 広瀬さんは正面を見つめながらため息をついた。

「それでクロ確定ね。どう考えても、あなたと浮気相手が鉢合わせしないようにしてる」

 ……確かにそうかもしれない。私は情けなさを感じながらも、蓮さんに「今から行きます」というメッセージを打とうとした。その瞬間、広瀬さんが慌てて手を広げ、私の動きを制止した。

「ちょっと、何してるの。知らせたらダメよ、現場を押さえなきゃ。行ってらっしゃい。傘はないから走って!」

 彼女の言葉に背中を押されるように、私は車を降りて、雨の中をテラスハウスまで走った。
< 245 / 590 >

この作品をシェア

pagetop