逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 私は主寝室へ向かい、ベッドの上に置かれた手帳を取った。それから、彼女がここをゲストルームとして使う可能性を考えて、テーブルの上に置いたままの本をまとめて棚に入れようとした。

 そう。ただのゲストという可能性だって、まだあるし……。

 すると、後ろから声がかかった。

「薫さん、片付けなくていいよ。私、あっちで寝るように言われてるから」

 私は振り返った。──あっちで寝るよう……言われてる?

 彼女はにっこり微笑んで、タオルを差し出す。

「風邪を引いたらいけないから、髪を拭いて。ここの家のタオル、スポンジケーキみたいにふかふかで気持ちいいよね」

 その瞬間、頭の中でパズルのピースがカチリと嵌まった気がした。

 この人だ……。前に蓮さんが話していた、タオルをスポンジケーキと表現した女性。

 元カノ? それとも、もしかして……ずっと付き合っている人?

「そうだ、まだ名乗ってなかった。私は理央(りおう)っていいます。理科の理に中央の央。今、紅茶を淹れるね」

 軽やかに言う彼女に向かって、私は「大丈夫です」と断った。心は火傷をしたようにヒリヒリと痛んでいる。
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