逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 広瀬さんはぶっきらぼうに言ったが、その言葉の裏にある彼女の優しさに、私は気づけるようになっていた。

「我慢できると思ったんですけど……やっぱり泣けてきちゃいました。まだまだ修行が足りませんね」

 笑おうとしたけれど、どうしても声が震えてしまう。

「泣きたい時は、泣けばいいの」

 彼女の一言に、崩れかけていた心の砦が再び揺らぐ。私は唇を噛んだ。

「男なんてそんなものよ。でも、本気で好きだったのなら、その気持ちはあなただけのもので、誰も汚したりできないから」

 広瀬さんの言葉が胸に深く染み込み、目頭が熱くなった。

「本気だったなら、その気持ちに自分で決着を付けられるはず。そうしたら、自然と前に進めるから。だから、悲しい時は思い切り悲しむの。自分のために」

 再び涙が溢れ、口元が震える。広瀬さんはティッシュを差し出してくれた。

「この部屋、防音なの。思い切り泣いても、私以外、だれも迷惑しないから」

 広瀬さんらしい言葉に、私は涙をこらえながらも少し笑った。感情が押し寄せてきて、抑えることができなさそうだった。

「……広瀬さん。お忙しいのでは……」
< 252 / 590 >

この作品をシェア

pagetop