逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「蓮さんのこと、そんなふうに言わないで。彼は誰も弄んでなんかいない。ただ……」

 ただ、なんだろう。私は言葉を探した。

「……ただ、私が間違えてしまっただけなの」

 一瞬、テーブルの空気が重くなり、「しまった……」と思った。でも、広瀬さんがすぐに気づいて、場を引き取るように話し始めてくれた。

「注文は決まった? ワインはピノ・ノワールでいいかしら。異議申し立てはある?」

 海外ドラマが大好きな友記子が笑って、「広瀬さん、まるでアメリカの結婚式の牧師さんみたい」と突っ込む。

「異議がないなら、注文の言葉に移りましょう」と言って、彼女は片手でウェイターを呼んだ。結婚式の「誓いの言葉に移りましょう」のパロディだ。このマニアックな返し……彼女も相当海外ドラマを見ているようだ。

 広瀬さんと友記子、そして航は、ワインと海外ドラマ、それから映画などの話題ですっかり打ち解けていた。やがて私たちは広瀬さんを「知里さん」と呼ぶようになり、広瀬さんも自然に「友記子」「航」と呼び捨てに変えていった。
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