逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「エルネストって、あのエルネスト? 上場企業の?」

「そう、エルネストEP社」

 ふうん、とつぶやきながら、祐介はどこか遠くを見るような目で言った。「エリートじゃん」

「祐介こそ、今はどこの会社で派遣やってるの?」

「俺? 契約の更新を断ったから、今は無職。それが理由でかなえに追い出された。ったく、生活費も食費も、全部俺が払ってるのにさ」

 そう言いながら祐介はニヤリと笑った。「でも、いいこと思いついた」

 彼は「ちょっと失礼」と席を立ち、店の外に出ていく。すりガラス越しの祐介が、スマホで誰かと話しているのが見えて、その様子になんだか胸がざわついた。

 あいつ、何か企んでるんじゃ……。

 しばらくして祐介はニコニコしながら戻ってきて、「今、派遣会社の田口さんと話してきた。次の派遣先、ほぼ決まったよ」と、親指を立てた。

「祐介、まさか……」

 祐介は上機嫌で京花さんに手で合図して、「ビール、もう一杯お願い!」と注文した。そして、そのまま楽しげに鼻歌を歌い出す。

 この曲……「ミッション・インポッシブル」のテーマだ。

 私は確信した。──祐介のやつ、絶対、ろくでもないことを考えている。
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