逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「あ、やっぱりニマニマしてるじゃない」

 顔が緩むのを必死で抑えようとしたけれど、無理っぽい。私は開き直って笑いながら尋ねた。

「知里さんは、最近どうですか?」

「どうって、合コンの話? それなら成果はゼロよ」

 知里さんはフォークでパイを一刺しし、皮肉げに口角を上げた。

「クリスマスに七面鳥の丸焼きを食べるなら、私も招待してよ」

「わかりました。プレゼント交換もしましょう。音楽が鳴っている間、ぐるぐる回すタイプのやり方で」

 ちょうど運ばれてきたコーヒーとパイを受け取った。パイから立ち上る濃厚なバターとりんご、そしてマグカップいっぱいに注がれたコーヒーのほろ苦い香りが混ざり合い、食欲を刺激する。

「それで、仕事の方はどうですか?」

 知里さんは、パイを一口頬張り、「うん、美味しい」と満足そうに呟いてから、少し意味ありげに微笑んだ。

「スタジオ・マンサニージャに、ドラマ脚本の仕事を二本依頼したの。葵ひかり先生の『ワケあり女優さんは恋をする』と、雫石しま先生の『眠りの小鳥』。薫は読んだことある?」

 私は驚いて、コーヒーの香りを楽しんでいたマグから顔を上げた。
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