逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「えっ、すごい! どちらも大好きな小説です!」

 知里さんは長い指先を組んで、にっこりと笑った。

「薫は絶対好きだと思ったわ。実は私もなの。年が明けてから取り掛かってもらうことになるけれど、あなたの脚本、楽しみにしているから」

 その言葉に、ふと我に返る。そうだ、今日は伝えたいことがあって、知里さんに時間を作ってもらったのだった。

 深呼吸をして背筋を伸ばし、私は知里さんをまっすぐ見た。

「知里さん、そのことなんですが──私、独立を考えているんです」

 アップルパイを刺したフォークを止めて、知里さんがじっと私を見つめる。

 これが知里さんのことをちゃんと知る前だったら、「また辛辣な一言が飛んでくるかも」と身構えたかもしれない。でも今は違う──彼女ならきっと、私の背中を押してくれる。

 しばらくして、知里さんはふっと小さく笑い、言った。

「なに、やっと決心したの?」

 やっぱり。そう言ってくれると思っていた。私は小さく息をつき、「はい」と答えた。

「薫から話があるっていうから、てっきり『結婚します』とか、そんな話かと思ったわ」
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