逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
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「姉ちゃん、おかえり!」

 20時を回って帰宅すると、まるでペットホテルから解放された大型犬のように、祐介が大喜びで玄関まで飛び出してきた。

「せっかく肉じゃが作ったのにさ、姉ちゃんも蓮さんも遅いんだもん。さみしくて、俺、一人で半分くらい食べちゃったよ」

「ハイハイ」

 私は適当にあしらいながら、リビングへ向かう。ガラス戸を開けた瞬間、おばあちゃんが作るのと同じ肉じゃがの匂いが鼻をくすぐり、急にお腹が鳴りそうになった。

「いい匂い。そんなにお腹すいてなかったけど、いただこうかな。蓮さんの分もあるの?」

「もちろん。半分食べたけど、あと10人分はあるよ」

 祐介はそう言いながら、肉じゃがと副菜を器によそい始めた。ほうれん草のおひたしに、ひじきの五目煮──どちらも、私と祐介が小さい頃から慣れ親しんだ味だ。さらに、祐介は手際よく湯を沸かし、私の好きなほうじ茶を淹れてくれた。

「ありがとう」

 湯呑みを受け取りながら礼を言うと、祐介がふいに顔を輝かせ、ガッツポーズを作った。

「姉ちゃん、俺、面接合格したよ! 来週から仕事。また忙しくなるけど頑張るよ」
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