逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「『口の中に食べ物がある限り、とりあえずすべての問題は解決している』ってカフカは言ったけど、いやそれ本当だな」

 私は黙って待った。おちゃらけながらも、祐介がちゃんと向き合ってくれる人だということを、私は知っている。

 一息ついたあと、彼はドリンクをテーブルに置き、まっすぐ私を見つめた。

「……昨日はごめんなさい。蓮さんが、姉ちゃんにふさわしいかどうか、見極めたかったんだ」

 コーヒーのマグを口元に当てたまま、私は湯気越しに祐介を見つめ返す。

「姉ちゃんさ、小学生の頃から、ずっと和樹くんに片思いしてたじゃん。俺から見たら、和樹くんは友達としては最高にいい人だけど、彼氏としてはナシ。だって、彼女いない状態に耐えられない人じゃん」

 ぐうの音も出ずに、私は祐介のドリンクのカップに付いた水滴が流れ落ちるのを見ていた。言い返す言葉が浮かばない。実を言うと、中学生の頃から祐介に何度も言われてきたことだった。

「だからさ、姉ちゃんの男の趣味って微妙なのかもって、ちょっと心配してたんだよ」

「それは……ありがとう」
< 391 / 590 >

この作品をシェア

pagetop