逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「いや、こちらこそ。この枯れ葉のおかげで、君の髪に触れる理由ができたんだから」

 ……生身の人間で、本当にこんなセリフを言う人が実在するんだ。

 彼の飄々とした物言いに、私は軽く現実感を失いかける。そのとき、視界の端で蓮さんが一歩前に進み出るのが見えた。

「気づいていただいて、ありがとうございます」

 その声は穏やかで礼儀正しかったが、微かに張り詰めた響きを含んでいた。見ると、蓮さんは静かに微笑んでいるものの、その瞳にはどこか挑むような光が宿っている。

 ──これ、ビジネスモードの蓮さんだ。……いや、それよりもさらに好戦的かも。

 蓮さんは微笑みを崩さず、柔らかいトーンで牽制するように続けた。

「次からは、僕が気をつけますので」

 男性は蓮さんの反応を楽しむように肩をすくめ、指先で枯れ葉をくるくると回した。

「そんなに怖い顔をしないで。ほら、他人の目を通して彼女の魅力を再確認するのも、悪いことじゃないだろう?」

 そしていたずらっぽく目を細めると、軽やかにコートを翻し、「それじゃ」と笑顔を残して去っていった。

 ──なんだか、ドラマのキャラクターとして使えそう。
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