逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 須賀さんはジャケットの内ポケットから名刺を一枚取り出し、長い指で挟んで私に差し出した。

「君に頼みたいことがある。近いうち……できれば早めに、連絡をくれないか」

 訝しみながら須賀さんを見上げると、その視線は真剣そのものだった。下心があるようには見えない。

「さっきはすまなかった。変な意味はない。広瀬さんたちには言わずに……連絡がほしい」

それでも私が受け取ろうとしないのを見て、須賀さんはふと視線を落とし、手元で何かをそっといじるような仕草をした。次の瞬間、それを私のバッグに滑らせるように入れ、「待ってる」と小さく囁いて、背を向けた。


* * *


 知里さんたちと別れたあと、蓮さんが「もう少し散歩しようか」と提案してくれた。私たちは再び公園へと向かう。

 恋人とボートに乗るという夢は、今日叶った。でも、もう一つだけ願いを叶えてもらったら……贅沢すぎるだろうか。

「連さん」

 思い切って、声をかけてみる。

「私……恋人ができたら、してみたかったことがあるの」

「なに?」

 優しい笑顔で、蓮さんが答える。

「……手を繋いで、歩きたいです」
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