逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 私がそう言うと、蓮さんはわずかに目を見開き、それから静かに微笑んだ。手袋を外すと、彼の大きくて温かな手が、私の手をそっと包みこむ。熱が、指先から体中に広がっていくのがわかった。

「……俺のしたいことも、叶えてくれる?」

 低く柔らかな声が耳に響いた。顔を上げると、蓮さんの目がまっすぐに私を捉えていた。

 ──蓮さん、「俺」って言った。

 周りを素早く見回し、誰もいないことを確認すると、彼は視線を少し伏せて、私の顔にそっと近づいてきた。優しく触れるだけのキス。それはまるで一瞬の夢のように、甘く儚い感触だけを残して離れていった。

 でも、それで終わりではなかった。蓮さんはもう一度唇を重ね、今度は私の下唇を軽く甘噛みしながら、ゆっくりと時間をかけて離れてゆく。

 胸の鼓動が速くなるのを感じた。恥ずかしさに蓮さんの顔を直視できず俯いていると、彼の小さな声が耳元に届いた。

「さっき、嬉しかった」

 繋いでいない方の手が、そっと私の髪を撫でる。

「ずっと、君の星でいられるように……頑張るよ」

 深い色をした瞳に吸い込まれるように、私は顔を上げる。彼の指が触れるたび、心の奥に小さな灯火がともるような気がした。

 ゆっくりと手を伸ばし、彼の頬にそっと触れてみる。
< 448 / 590 >

この作品をシェア

pagetop