逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「ずっと書き続けて、何度も書き直して、納得いくまで向き合って……そうやって生まれた物語こそが、あんたの小説の価値だったんじゃないの?」

 スマホ越しに伝わる静寂の中、彼の呼吸がかすかに乱れた。

「私は、祐介が書く物語の一番のファンだよ。でも……そんな小説なら、私は読みたくない」

 しばらくの沈黙。そして、スマホの向こう側から小さく震えるような音が聞こえてきた。

 ──あのとき、祐介は泣いていたのだろうか。

 後日聞いた話では、契約締結寸前で、祐介は他の出版社との話をすべて断ったそうだ。


* * *


「改めまして、姉ちゃん、受賞祝いの夕食奢ってください!」

 祐介が深々と頭を下げてそう言うので、私は「特別だよ?」ともったいつけながら、彼をお気に入りのメキシコ料理レストランに連れて行ってあげた。

 私のおすすめは「鶏肉と野菜のファヒータ」で、祐介は迷わずそれを注文した。スパイスの香ばしさが食欲をそそり、横にはたっぷりのピリ辛ソース(サルサ・ピカンテ)が添えられている。
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