逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「彼女の本を楽しみにしながら、クリスマスを待つ人がたくさんいて、クリスティの新刊とともに迎えるホリデーは、彼らにとって特別な時間だったんだろうなって思うよ。──俺たちも、そんな本を作れたらいいねって、譲原さんと話してたんだ」

 私は思わず笑顔になる。

「そうだね。そんなふうに誰かが心待ちにしてくれるなんて、作家にとってこれ以上の幸せはないよね」

「はい、半分こ」と言って祐介は、小皿に載せたトレス・レチェスを私の前に置く。私もエンパナーダを半分、祐介に差し出した。

 祐介は、エンパナーダにトレス・レチェスを載せ、一口頬張った。……邪道ではあるけれど、なんだかとても美味しそうに見える。

 私も、真似て食べてみる。甘酸っぱいパイナップル・フィリング入のサクサク生地に、トレス・レチェスの濃厚な甘みがじんわり染み込んで……何度も食べたことがあるデザート(ポストレ)なのに、全然違う美味しさだった。

「いつかさ、小説をドラマ化とか映画化もしたいんだ。でもね、焦るのはやめた。この会社に映像化を任せたい、この人たちと一緒に作品を作りたいって思えるところが見つかるまで、じっくり待つよ」
< 491 / 590 >

この作品をシェア

pagetop