逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 頬の熱が引かないまま、私は小さく息をついた。……こっそりキスしている最中じゃなくてよかった。そう思うべきなんだけど、できればもう一回、したかった……。

 彼は軽く伸びをしながら、まだ眠たげな目で私を捉えると、私の背中にそっと腕を回して、自分の方へと引き寄せた。

「薫だ……夢じゃなかった」

 かすれた声が耳に触れ、彼の温もりに包み込まれる。その体温が心地よくて、私は思わず目を閉じた。

「おはよう、蓮さん。よく眠れた?」

 尋ねると、彼は眠そうに目を細めながら「うん」と小さく頷いた。

「薫はすぐに寝落ちして、それからずっと起きなかったね」

 私は思わず笑う。

「それを知っているってことは……よく眠れたって、嘘でしょ?」

 彼は小さくあくびをして、少し照れくさそうに目を伏せる。

「……さあ、どうかな」

 その仕草があまりにも愛しくて、胸が甘く締め付けられた。

 こんなに素敵な人のこんな姿を独り占めできるなんて、私は前世でどれだけの徳を積んだんだろう──そう思わずにはいられない。

「コーヒー、淹れてくるね」

 そう言ってベッドから抜け出そうとした瞬間、蓮さんの手が私の手首をそっと捕らえた。

「薫……今日も一緒に寝てくれる?」

 低く優しい声が、そっと耳をくすぐる。
< 520 / 590 >

この作品をシェア

pagetop