逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 その表情は、まるで大好きな飼い主に甘える大型犬のようで、なんだかくすぐったい気持ちになる。私は冗談めかして答えた。

「また、ただ寝るだけになっちゃうけど……いいの?」

 蓮さんは目を細めて微笑んだ。

「もちろん。朝になって抱きしめさせてくれれば、それでいい」

 その言葉に、切なさにも似た愛おしさが胸に満ちていく。この人は、どうしてこんなに──優しくて、温かくて、どこまでも誠実なのだろう。

 ──この人が望むことなら、何でもしてあげたい。

 私は、外側に跳ねた蓮さんのくせ毛をそっと指先に絡めた。

「蓮さん」

 名前を呼ぶと、彼は穏やかな笑顔で「うん?」と答えた。

「……美味しいコーヒー、淹れてきてあげるね」

 そう言いながら、私は彼の柔らかな髪を撫でた。……ほんの少しでも離れるのが名残惜しくて、どうしてもこの温もりを手放せない。

 本当のことを言うと、私は今すぐにでも──彼に、抱かれたかった。



 蓮さんの部屋からリビングへ出て、主寝室に目をやる。ドアは閉じられたままだった。

 キッチンへ向かうと、冷蔵庫の扉に貼った祐介へのメモが目に入る。もちろん、中の夕食も手つかずのままだ。

 ──何やってるんだろう、私。
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