逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 あの割烹で私が「好きな映画、もしくはドラマは?」と尋ねたとき、蓮さんが『田舎の生活』と答えることは絶対になかった。そうしたら、私たちは食事を終えてそのまま別れ、再び会うことはなかったはずだ。そして……私たちはお互いを思い出すこともなく、まったく別の人生を歩んでいただろう。

 その可能性を想像しただけで、息が詰まりそうになる。──背筋が凍りつくほどの、怖さだった。

 もし蓮さんと一緒に暮らさなければ、私の心をこんなにも温めてくれる感情を知ることはなかったし、こんなに大切だと思える人に、一生出会えなかったかもしれない。

 私は微笑みながら、航の顔を見た。

「ありがとうって言うのは、ちょっと違うかもしれない。でも……あの悔しさの延長線上で、最愛の人に出会えたなら、それも悪くないなって、今なら思えるの」

 航は少し唇を噛み、ゆっくりと頷く。そして再び、頭を深く下げた。

「それじゃ、また近々会おうね!」

 私は深呼吸をしてから、一歩、外へと踏み出した。

 ふと空を見上げると、透き通るような青が広がっていて──自然と、蓮さんのことを思い出していた。
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