逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「広瀬さんが、俺のこと怪しんでるって、姉ちゃん言ってたじゃん。それで、ダブルデートのあと、譲原さんに頼んでエルネストに連絡を入れてもらったんだ。春木賢一朗の交渉の場に俺が現れたら、みんな驚くだろうなって……」

 膝の上で、両手がぎゅっと強く握られた。

「……でも、その直後に、俺の作品がダークレイスに渡ってた。お笑いのオーディションに受かるために、エルネストとの約束を反故にして、ライバル会社に売ったなんて知られたら──広瀬さんも蓮さんも、きっと俺に失望する」

 祐介の声は静かだったが、その奥にある苦悩が痛いほど伝わってきた。

「春木賢一朗の作品を、最高の形で映像化したいって、本気で考えてくれてた人たちを……俺は、こんな形で裏切ったんだ」

 自分の知らないところで伊吹がやった──そう言えればいいのかもしれない。でも、私にはわかっていた。全ての責任を伊吹くんだけに被せることなんて、祐介には絶対にできないはずだ。

「……ごめん、姉ちゃん。蓮さんには頼れない」

 そう言って、祐介は私を見て小さく笑おうとした。けれどその笑顔は──ひどく痛々しくて、今にも泣き出しそうだった。

「これは……俺がなんとかしなきゃいけないことなんだ」
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