逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 ふと、蓮さんの視線が私に向けられる。

「脚本は、スタジオ・マンサニージャの安斎さんが担当されるそうですね。椿井さん、彼はあなたから脚本の基礎を学び直していると伺っています」

「えっ」と、私は思わず声を上げた。

 たぶん、倉本先生がいろんなところで言いふらしているのだろうけれど──そんなことまで把握してるなんて。

 心の中で「恐ろしや」とつぶやいていると、蓮さんが「続けていい?」とでも言うように、笑顔のまま首を少し(かし)げた。

 完璧なビジネスモードの隙間から覗いたその仕草が、どうしようもなく可愛らしく見えて──今すぐにでも、緩やかなくせ毛を指先でくるくるといじりたくなってしまう。

 もう何度目だろう、こうやって、蓮さんに心を持っていかれるのは──ああ、私は、この人のことが好きで好きで、たまらない。

 そんな私のちょっと(よこしま)な気持ちに気づくはずもなく、蓮さんは話を続けた。

「安斎さんであれば、たとえ最新作がダークレイスに渡ったとしても、商業主義一辺倒の作品にはならないかもしれません。もちろん、仕上がりは安斎さんの力量次第になりますが」
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