初恋は実らない?
すれ違い(航輔と雅)
鈴木雅。
俺に告白してきて、付き合いだした。
廻りの女子が煩くなくなって良かった。
ただ、部活が終わるまで待っていて、疲れているのに送って欲しいという。
『せっかく待ってたのに』と言われても頼んでたわけじゃないのに。

「今日も遅くなるから先に帰って良いよ」
待たせるのが悪いと思っただけなのに、
「待ってるのは迷惑?」って、言ってくる。
正直に話すべきか迷ってしまう。

「今週の土曜日、予定ある?」
聞いてきたから、「部活がある」と答えると、
「休めないの」「友達の彼氏は休んでくれるのに」って。
俺は休めないんじゃ無くて、休みたくないんだけど、言うとまた不機嫌になるだろう。
気付かないうちにいつもけんか腰になっている。

華ならこんなこと言わないよなぁ、って思ってしまう自分が情けなくなってきた。
「未練ありすぎだろ」
自分から距離を取ったのに。

結局、日曜日に会うことにする。
修学旅行の買い物をしたいと言ったから。
「お待たせ」
遅れてきたのに、走らないでやって来た。

謝りもしないで不機嫌に、「航輔君のためにおしゃれしてきたのに何も言ってくれないのね」
その前に、おまえこそ何か言うことはないのか?

なんて言えば良いのか判らない。
「…、ごめん」
ため息交じりで「もういい」って、俺もなんで謝ったのか判らない。

< 9 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop