一途な気持ちは今日も(※3話目大幅編集につき非公開)
1.
カフェ店員
「お先に失礼します」
「お疲れ様〜」
すれ違う同僚に会釈をして、ハンガーに掛けてある上着を片手に私はエレベーターに向かった。
ボタンを押せばタイミングよくドアが開き、中に乗っている人が「菜穂」と、私の名前を呼んだ。
「麻衣さん!」
そう叫べは麻衣さんはにっこり微笑む。
私が勤めている会社はデザイナー関係の仕事で、主に広告のデザインを担当している。
去年まで私達の部署にいた先輩の麻衣さんは商品課の方に移動してしまい、今ではこうしてフロアやエレベーターと言った場所でしか会わなくなった。
「お疲れ様。今帰り?」
「はい。麻衣さんも?」
「そうよー」
いつぶりかなぁ、と指を折って数を数えていく。
1、2、3……ってもう半年も経ったの!?
「今日も行くの?」
「あ、はい……あそこのラテ美味しいんだもん」
「とか言いながら店員さん狙いだったりして」
麻衣さんがニャーっと意地悪く笑い、肘で突いてくるから、変に意識しちゃって頬が熱くなるのがわかる。
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