一途な気持ちは今日も(※3話目大幅編集につき非公開)
電車を降りて少し歩いた所。
私の癒しはここ──カフェ・フェアリーにあった。
ドアを開ければカランカランとドアベルが鳴り、コーヒーの香りがいっぱいに広がる。
「いらっしゃいませ〜お好きな席にどうぞ」
カウンターの方で年配の女性が私にそう声をかけた。
いつもの窓際の席に座ると、すぐに水の入ったグラスが置かれる。
スッと通った鼻筋に薄い唇。綺麗な顎のライン。
整った顔立ちは、切れ長の瞳に長いまつ毛が頬に影を落としていた。
わわっ……!
彼だとわかった瞬間、ドキッと胸が騒いだ。
去って行く彼を目で追わず、とりあえずメニュー表をテーブルの上に置いた。
そしてあたかも“メニュー見ていますよ”と言う雰囲気を出して、再びカウンターの方に視線を持って行く。
20時から21時の間。
それは、少しでも彼──橘さんに会える時間帯なのだ。