ごめん嘘、君が好き。
放課後の教室

「なぁ、俺って怖い?」

ふたりしかいないそこで塔原の声が響く。

「はぁ?それ、私に聞くこと?気になるなら自分で聞けば?」

っていうかそんなの私に聞かないでよ。

「んなこと言うなよ...こんな話、高槻にしか聞けねぇし。」

ぶっきらぼうに、少し照れたようにそう言う。

「私、聞くなんて言ってない。」

自分でも驚くくらいの冷たい声。
もっと可愛く言えたらいいのに。

こんなんじゃ、私の気持ち...伝わらない。

「分かってるよ。でも、仕方ないだろ。女子の気持ちとか考えたことなかったからさ。」

女子の気持ちって…塔原が知りたいのは〝一ノ瀬さん〟の気持ちでしょ?

「...っていうかそもそも私、塔原の好きな一ノ瀬さんじゃないから。聞いても意味ないわよ。」

何言ってんだろ私。

塔原だってそんなこと分かってて聞いてるのに。

「いや、それはそうだけどさ…、今は高槻から見て俺ってどう見えんのかなってことが聞きてーの。」

ほら、ちょっと怒ったような口調。

悪いのは私って分かってるけど...でも、謝りたくない。
だからあえて気付かないふりをする。

何気なさを装って
「塔原は、見た目通りかっ...怖く見えるんじゃない?」

最悪、このタイミングで噛むとか。

それに、隠すためっていったって〔怖く見える〕はありえないし。

「あー、やっぱそうなるよな。高槻から見ても俺って怖いのか。」
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