復讐殺人日記
見える
「ちょっと気分転換しようぜ」
放課後になると貴斗がそう声をかけてきた。

私がトイレで悲鳴を上げたことに関してはもう説明してあった。

みんな私が見たという影について信じているかどうかはわからないけれど、気にしてくれていることはわかっていた。

「いいね。どっか遊びに行く?」
瑞穂がすぐに駆け寄ってきた。

その後から日奈子もついてくる。
「ゲーセンでも行くか?」
貴斗が私へ向けて質問してきた。

みんななにも言わないけれど、私のためだということが伝わってくる。

「今日は財布も持ってきてないから」
家を飛び出してきたときポケットに入れたのはスマホだけだ。

残念だけれど遊ぶようなお金はない。
「なんだよ、それくらいおごってやるって。なぁ、みんなで行こうぜ?」

肩に手をのせて誘ってくる貴斗に軽く肩をすくめて頷いた。

そこまで言ってくれるなら、もう断る理由もなかった。

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