復讐殺人日記
リビングではお母さんが洗濯物をたたみながら夕方のニュース番組を見ている。

ちょうど保人が殺したユイカちゃんのことをやっていて、思わず顔をしかめた。

「お母さん私の部屋に入ったでしょう!?」
「どうしたの急に? 部屋になんて入ってないわよ?」

洗濯物の手を止めて目を丸くしている。
まばたきの回数が多くなっているから、きっと図星だったに違いない。

お母さんは嘘がつけない性格だから。
「嘘!」

「……そうね。今日は部屋に入ったわよ。だって愛花がなにも持たずに家を出るんだもの。カバンくらい届けなきゃと思うでしょう?」

開き直ったように言うお母さんにムカムカと腹が立ってくる。
「勝手に部屋に入らないでって言ったじゃん!」

「はいはい。もう入りません」
「日記を見た?」

「なに? 日記なんてつけてるの?」
お母さんの顔が好奇心に輝く。

まばたきの回数は増えていない。
「私のじゃなくて……」

それ以上説明できなくて口ごもる。
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