妃候補なんて興味ありません!
10番目のお姫様
近くでクスクスと笑い声が聞こえてきても18歳のシーラは意に介さなかった。
シーラの侍女であるリュナのほうがハラハラとした様子で自分のご主人さまの動向を伺っている。
リュナはさっきから足首まである藍色のワンピースの裾をヒラヒラとはためかせながら慌てている。
ここは北東部で一番大きな国テンダン国のお城。
そしてシーラは北東部で最も小さな島国からやってきた妃候補だった。
巨大な城の中には今10人の妃候補たちが暮らしていて、シーラもその1人。
ただし、候補としては一番下っ端、10人中10番目の妃候補だ。
「シーラ様、水浴びは部屋でお願いします」
中庭にある井戸から透明度の高い水を汲み上げたシーラへ向けてリュナが早口に言う。
「あらどうして? 井戸の水のほうが冷たくて気持ちがいいのに」
デンダン国では、今が一番気温が上がる季節。
昼を過ぎると40度以上の灼熱に身を焦がされることもある。
今日はひときわ熱くて耐えかねたシーラは妃邸の一番奥、10番目の扉から飛び出してここまでやってきたのだった。
「ですが、他の妃候補たちから笑われています」
シーラの侍女であるリュナのほうがハラハラとした様子で自分のご主人さまの動向を伺っている。
リュナはさっきから足首まである藍色のワンピースの裾をヒラヒラとはためかせながら慌てている。
ここは北東部で一番大きな国テンダン国のお城。
そしてシーラは北東部で最も小さな島国からやってきた妃候補だった。
巨大な城の中には今10人の妃候補たちが暮らしていて、シーラもその1人。
ただし、候補としては一番下っ端、10人中10番目の妃候補だ。
「シーラ様、水浴びは部屋でお願いします」
中庭にある井戸から透明度の高い水を汲み上げたシーラへ向けてリュナが早口に言う。
「あらどうして? 井戸の水のほうが冷たくて気持ちがいいのに」
デンダン国では、今が一番気温が上がる季節。
昼を過ぎると40度以上の灼熱に身を焦がされることもある。
今日はひときわ熱くて耐えかねたシーラは妃邸の一番奥、10番目の扉から飛び出してここまでやってきたのだった。
「ですが、他の妃候補たちから笑われています」
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