妃候補なんて興味ありません!
ついさっき聞こえてきた笑い声の方へ視線を向けると、そこには3人の妃候補がいて、井戸汲みなんてしているシーラを見て遠慮なく笑っている。

「彼女たちも水浴びをすれば涼しくなるのに」

「そんなことするわけないじゃないですか。みなさんキレイに化粧をして、城の中はしとやかにお過ごしですから」

シーラーへのチクチク言葉がつい出てしまう。
彼女らに比べると今のシーラは化粧っ気もなく、薄い絹のドレスを1枚身につけているだけだった。

幸い王子様であるフィリップは今でかけているのでこの姿を見られることはないが、あの妃候補たちはフィリップが帰宅すればすぐにでもシーラのことを告げ口するだろう。

妃候補は1人でも少ない方がいいからだ。
リュナが1人気をもんでいることなんておかまいなしに、シーラは井戸水を頭からかぶった。

水しぶきに思わず数歩後ずさる。
そのときひときわ大きな笑い声が聞こえてきた。

「あぁ、気持ちいい!」
その灼熱デンダン国に置いて冷たい水浴びはさぞ気持ちいいのだろう。
シーラは金色の長い髪の毛に水を滴らせながら微笑んだ。
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