【短】卒業〜各務昴の場合〜

独占欲

そんな悠長な事を考えていた時、あらぬ噂を女生徒から聞いた。
4年の男子が懲りもせず彼女に告白したらしい。そこまでならちょくちょく耳にする話で普段は対して気にしないのだが、その学生というのが入学以来3年連続でミスター大学に選ばれる爽やかイケメンで、彼女が告白の返事を保留にしていると聞いては心穏やかではいられなかった。
今までは告白されてもその場で断ると聞いていたのに、今回は迷っているということだろうか。
胸の奥がムカムカする。自然と機嫌が悪くなり、目の前の事にあまり集中できない。
彼女はまだ若い。俺よりも若くて優秀な奴に声を掛けられる機会なんてこれからいくらでもあるだろう。彼女がその気になれば、その手を取ることだって…

気付いたら俺は彼女のバイト先に押しかけ、彼女に手を伸ばしていた。
なんて言って部屋に連れ込んだのか正直よく覚えていない。
でも、手から伝わる彼女の温もりを知ってしまったらもう駄目だった。

こいつは俺のものだ。誰にも渡さない。

雨で冷えた華奢な身体を抱きしめて独占の証をその身に刻む。
あんなガキに彼女を取られてたまるか。
決定権は彼女にあるというのに、こんな身勝手な感情に支配されて行動するのは生まれて初めてだった。
初めての交合に疲れ切って眠る彼女の髪を撫でながら、どうしたら彼女の心までも手に入れる事ができるのか今後の作戦を練る。
けぶるような雨が降る、6月の出来事だった。
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