火の中の救世主
数日後、美咲は病院で目覚めた。

目蓋を開けるとそこには座り込んだまま眠る悠真の姿があった。　
その顔には疲労感と安堵感が入り混じっているようだった。

「悠真……？」

その声で目覚めた悠真は、一瞬驚いた表情になり、それからほっとしたような笑みを浮かべた。

「良かった……本当に良かった」

美咲もまた涙ぐみながら、
「ありがとう……助けてくれて」と呟いた。　　

その言葉にはこれまで以上の感謝と思いが込められていた。

「もう無茶するなよ。本当に心臓止まるかと思ったんだから」

悠真の言葉には怒りよりも優しさが滲んでいた。　
そしてその時、美咲も自分自身の心境に気づく



――この人だけには守られたい、と。




その後、美咲は颯斗の病院で治療を受けることになった。

颯斗は医者として美咲の状態を確認し、彼女が受けた中度の気道熱傷について説明する。

「美咲、君の状態は今回は命に別状はないが、中度の熱傷だ。次に同じような状況に陥ったら、命が危険になる可能性がある」

颯斗の言葉は冷静で優しいものの、美咲には強い警告として響いた。

「次は無理しないでね。自分を大切にしてほしい」

その言葉に美咲は頷いた。
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