この小説の続きを探しています。
慶太は本気であの本について調べようとしているし、自分もすでに同じ船に乗っている状況だった。
「私も一緒に行くの?」

「できればお願いしたい。細川さんは女子だから、同性の香がいたほうが都合がいいんだ」

それはわかるけど……と、言いよどんで顔を伏せる。
人に嘘をつくとなると急に自信はなくなっていく。

どうしても学校を休みたくて風邪を引いたという嘘も、簡単に見抜かれてしまうほど下手くそだから。

自分が一緒にいけば、慶太まで疑われてしまうかもしれない。

「頼むよ香。これがうまく行ったら一緒に水族館に行こう。香が行きたいって行ってた、神戸の水族館に」

「それ、本当に?」
「もちろん!」
「わかった。それじゃ手伝うよ」

香はため息交じりに頷いたのだった。
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