この小説の続きを探しています。
恐怖を吹き飛ばすように叫ぶと、その声はトンネルの中にいるときのようい幾重にもなって自分の耳に戻ってくる。

さすがにおかしい。
慌てて踵を返して外へ出ようとしたときだった。

行く手を阻むように入り口付近の棚から本が落ちた。
パサッパサッパサッ。

一冊、二冊、三冊。
パサッパサツパサッ。
四冊、五冊、六冊。

それは徐々にこちらへ近づいてくる。
「な、なんで」

声が震えて声にならない。
次の瞬間、目の前の棚からバサリと音を立てて辞書が落下した。

「うわあああ!!」
悲鳴を上げて図書館を奥へと走る。
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