この小説の続きを探しています。
1階には大人から子供まで幅広い年代の利用者たちがいるはずだけれど、誰の姿もない。
「慶太?」

誰もいない空間へ向けて声をかけると、これだけ本が詰め込まれているに関わらず反響して戻ってきた。

まるでここにいるのに、別の場所にいるような感覚になって背筋がゾクリと寒くなる。

「慶太、どこにいるんだよ?」
恐怖心を押し殺しながら歩いていくと、途端に後方からパサッと軽い音が聞こえてきた。

驚いて振り返ると一冊の本が本棚から落ちている。
怪訝な表情を浮かべて落下にした本に近づき、手に取る。

その本はすぐ近くの本棚から落ちたようで、ホラー小説だった。
それを元の場所へ戻した瞬間。

パサッ。
今度は図書館の奥から聞こえてきた。

通路の奥へ視線を巡らせると、そちらでも本が落下している。
「なんだよ、誰かいるのか!?」
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