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この本の話が本当かどうか問いかけるような視線を香は慶太へ向けた。
慶太は軽くうなづく。
「それじゃ、図書館で永井くんを見たのが最後?」

「そうだ。すぐに追いかけたんだけど、もういなかった」
残された買い物の残骸を脳裏に思い浮かべると胸ガジクジクと痛くなる。

永井は夕飯を楽しみにしていたに違いない。

そんな中、なにかに引き寄せられるように入ってしまった図書館内で、この本を手にしたんだろう。

そして本は永井に恐ろしい幻覚を見せ怖がらせた上で、連れ去ったのだ。
まるで人を苦しめることを楽しんでいるようにすら感じられて憤りを感じる。

「堀田千穂の都市伝説は一旦置いておくとして、この本は誰が書いたんだろう?」
『永遠の本』は古ぼけていて、裏表紙にはみたことのないシーリングスタンプが押されている。

よくよく見てみれば出版社も著者名も記されていないのだ。
「わからないな。なにか、ヒントがないかな」
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