すべてはあの花のために②

「確か、ここら辺だったよな」

「…………」


 チカゼがそう言うと、オウリも一体を見渡す。
 そうしていると、弾かれたように顔を上げたオウリが、慌ててスマホに文字を打ち始めた。


〈つけられてる〉


 みんなは辺りを見渡そうと思ったが、それよりも早くオウリはこう続けた。


〈嫌な感じじゃない
 でも取り敢えずここは
 気づかない振りをしておこう
 先にあーちゃんを家まで送らなきゃ〉


 そうオウリが教えてくれたので、葵は「わかった」と小声で返すが、残りの二人が何故か、「あーちゃん?!」と、どうでもいいことに食いついてしまった。


「おいオウリ! なんでそんなに親しげなんだよ!」

「いつの間にそこまで仲良くなってんの」


 そう聞かれてオウリは、首を傾げながらみんなの顔を交互に見ていたが。


「(な、仲良くだなんて……)ぽっ……」


 葵が意味なく喜びすぎて顔を赤くしたので、どうやら変な勘違いをしたらしいチカゼが、オウリに掴みかかっていた。しかし、残念なことにあっという間に、投げ飛ばされていたけれど。


「い、ててー……」

「いや、なんでオレまで……」


 と、文句を言っている二人を余所に、パンパンと手を払ったオウリがこちらへトテトテと笑顔で駆け寄ってくる。


〈どうして顔赤くなったの?〉

「え? だって、仲が良いって言われて嬉しかったんだもん」


 そう言うと、彼はなんだか残念がってた。
 そして、投げ飛ばされた彼らもこちらへ近づいてきた頃を見計らって。


〈この間のキス
 思い出したのかと思っちゃった♡〉


 なんて悪戯っ子な顔をしてそう打ってきたから、全員で叫び声を上げる。
〈近所迷惑でしょ!〉とぷんぷん怒るオウリには、全員で「いやいや誰のせいだと……」と突っ込んでおいた。


< 237 / 286 >

この作品をシェア

pagetop