すべてはあの花のために②



 氷のように冷たい指先は、宛ら化け物。
 魔女にでもなった気分だ。



「……は。はは……」



 ……いいや、間違いなどではない。
 化け物と化したのだ。

 人の幸せを、まるで息をするように食らっているのだから。





「……絶対。なんとかしてみせるわ」



 だから――……と、続きの言葉は飲み込んだ。

 言う資格など、どこにもない。



 泣く資格も、……ないのだから。


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