悪役令嬢を期待されたので完璧にやり遂げます!
ジャルダン様、このまま行けば公爵家(うち)から婚約破棄を突き付けられるのも時間の問題なのだけど。
我がオーズリー家が後見から外れたら、王太子に選ばれることもないってわかっているのかしら?
……多分わかっていないわね。
でも王位よりも愛する女性を選ぶのなら、それはそれで素敵な事よね、うん。

マリアンヌの一学年下に在籍している第二王子のレックスは優秀だと評判で、ジャルダンより格段に人気が高い。
ちなみにジャルダンは現在高等部の三年で、マリアンヌの一つ上の学年である。

ジャルダンの今後について多少気にはなったものの、自分が心配することでもないと考え直したマリアンヌは、そろそろ帰ろうかと身を起こしかけたのだが。

「それにしてもジャルダン殿下が目をかけているあの男爵令嬢は、身の程を知らない厚かましい女ですわよね」
「わたくしも驚きましたわ。あの方、マリアンヌ様のことを『悪役令嬢』なんておっしゃったのよ?」
「まあ! なんて図々しいのかしら。まるで小説のヒロイン気取りではなくて? だったらこの際、マリアンヌ様も『悪役令嬢』として彼女にとことん嫌がらせをしてさしあげたらよろしいのに」

え、『悪役令嬢』?
この私が?
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