若頭は拾い猫を甘やかしたい。
出て直ぐにほっぺをぐりぐりと制服の裾で拭く。


……ほんと、最悪。


憂鬱な思いの中、校門の方へ出ると見覚えのある黒い車が止まっているのが見えた。


そしてすぐ近くには人が立っているのも見える。多分、柳城さんが迎えに来てくれたんだろう。


だけど徐々に近づいてその人の姿がはっきりと見えてくると、足取りが一気に軽くなった気がした。


だってそこには、



「都、おかえり。」


「弥生くんだ、」



弥生くんが立っていたから。



「何で、弥生くんが居るの??」

「早く都に会いたくて俺も一緒に来た。」



…嬉しい。

自分の心の中で確かに嬉しいという感情が動いたのが分かる。


「都?疲れた?」



少し心配そうな顔で私の顔を覗き込んでくる弥生くん。

凄いな、あまり顔には出さないようにしてたのにどうして分かったんだろう。



「…うん、ちょっと疲れた。」


「そっか、じゃ早く車乗るぞ。」



私の腕を優しく掴んで車へと乗らせると、弥生くんも横に座った。


…何で弥生くんはこんなに居心地がいいのかな。



さっきまで嫌な気持ちだったのに一気にその気持ちが無くなった。



「都、おいで。」



すると弥生くんは両手を少し広げてそう言った。



「ぎゅうってして良いの?」

「ん。いいよ。疲れたんでしょ。」



…やった。


ぽふっと寄りかかると、しっかりと腕を回してきて弥生くんに抱きしめられる。



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