あなたの隣で生きていく
キミに会いに
それからの俺はどうしたら蛍の記憶は戻るのか?ネットで色んな情報を探してみた。でも記憶がなくなった人が元に戻るなんて奇跡なようなものだと……そろそろ受験勉強の準備と言われても俺は蛍のことについて調べていた。そんなころ親父と久しぶりに話をした。
「蛍ちゃんはどうなんだ?」
「わからない。ただおばさんが言うには最近少しずつご飯が食べれるようになってきたと聞いた」
「お前はこれからどうするんだ?」
「俺は……」
親父に自分の思いを伝えた。歯科医じゃなくて精神科医になりたいと……
すると親父は眉間にしわを寄せて蛍ちゃんの為だからという理由ならやめておけと言い出した。
「なんでっ?なんで蛍の為にっていうのがダメなんだよっ」
親父の言ってる意味がわからずに声を荒げる俺とは違って親父は穏やかな口調で諭すように教えてくれた。
「蛍ちゃんの為っていってるけど、もし仮に途中で挫折したらどうする?蛍ちゃんのせいにするのか?それは違うだろ?もし記憶が戻った蛍ちゃんが知ったらどう思う?お前は昔から歯科医になりたいって言ってたのに自分のせいで歯科医をあきらめたんじゃないかって思うだろ?だからだ。蛍ちゃんのせいにしないで自分の道は自分でちゃんと決めろ。お前が自分で決めたのなら俺はもう何も言わないから」
親父は部屋に戻っていった。
それからの俺は真面目に勉強にも取り組んだ。絶対に医学部に合格するんだと。蛍の笑顔を思い出しながら……
あれから2週間がたった頃、おばさんに呼ばれて俺は病院に向かった。
「蛍、お友達よ」
おばさんに背中を押されて蛍の前にかがんだ。
「こんにちは沢渡一馬です」
俺は前のことがあるせいかかなり緊張してしまいひきつった笑みを浮かべたが蛍は俺の顔を見て急に涙をこぼしはじめた。びっくりしたけどその涙をそっと拭ってあげると後ろでおばさんの鳴き声が聞こえてきた。
「蛍が泣いてる。今までなんの感情もなくていつも無表情だったのに……一馬くんのことはやっぱり覚えているのかもしれないわね」
俺は嬉しかった。もしかしたら蛍の潜在意識では俺に会えて喜んでくれてるのかもしれないと……それから俺は蛍に毎日会いに行った。
蛍は左の耳が聞こえづらいみたいだから俺は右側から話しかける。この位置は前と一緒だなと思った。俺の左側に蛍がいてくれる。あれから俺を見ても怯えないし涙をこぼすこともなかった。言葉を発することができなくて無表情のままの蛍を見ると記憶も戻ってる感じはしなかった。
蛍が倒れてから2ヶ月近くがたって症状も落ち着いてきたので高校の近くにあるリハビリ専門病院に転院することになった。
「こんにちは沢渡一馬です。今日も会いに来ました」
今日はベットの背もたれを起こして座っている蛍の右側から話しかけた。
でも……今日はいつもと違う違和感を感じたがなぜだかわからなかった。
「一馬くん、毎日ありがとう。高校大丈夫?」
おばさんはいつも俺を心配してくれるが俺が蛍に会いたいから来てると伝えると本当にありがとうと言ってくれた。
「そういえば今日はね、ずっとドアのほうを見ていたのよ。きっと一馬くんのこと待ってたんじゃないかと思うのよ」
それだ!俺が入ったら蛍が見ていてすぐに目が合った。いつもは窓のほうを向いてるのに……そうか、この時間に俺が来るってわかってきたのかもしれないと思うと嬉しかった。
「蛍、また一緒に遊びに行こうな。リハビリ大変かもしれないけど頑張れ」
俺は優しく蛍の頭を撫でた。俺に触られても拒否されることなく大丈夫そうで安心した。少しづつ回復してほしい。できれば記憶が戻って欲しいと思いながら蛍に毎日話しかけて俺は家に帰る。そんな生活をしていた。
「蛍ちゃんはどうなんだ?」
「わからない。ただおばさんが言うには最近少しずつご飯が食べれるようになってきたと聞いた」
「お前はこれからどうするんだ?」
「俺は……」
親父に自分の思いを伝えた。歯科医じゃなくて精神科医になりたいと……
すると親父は眉間にしわを寄せて蛍ちゃんの為だからという理由ならやめておけと言い出した。
「なんでっ?なんで蛍の為にっていうのがダメなんだよっ」
親父の言ってる意味がわからずに声を荒げる俺とは違って親父は穏やかな口調で諭すように教えてくれた。
「蛍ちゃんの為っていってるけど、もし仮に途中で挫折したらどうする?蛍ちゃんのせいにするのか?それは違うだろ?もし記憶が戻った蛍ちゃんが知ったらどう思う?お前は昔から歯科医になりたいって言ってたのに自分のせいで歯科医をあきらめたんじゃないかって思うだろ?だからだ。蛍ちゃんのせいにしないで自分の道は自分でちゃんと決めろ。お前が自分で決めたのなら俺はもう何も言わないから」
親父は部屋に戻っていった。
それからの俺は真面目に勉強にも取り組んだ。絶対に医学部に合格するんだと。蛍の笑顔を思い出しながら……
あれから2週間がたった頃、おばさんに呼ばれて俺は病院に向かった。
「蛍、お友達よ」
おばさんに背中を押されて蛍の前にかがんだ。
「こんにちは沢渡一馬です」
俺は前のことがあるせいかかなり緊張してしまいひきつった笑みを浮かべたが蛍は俺の顔を見て急に涙をこぼしはじめた。びっくりしたけどその涙をそっと拭ってあげると後ろでおばさんの鳴き声が聞こえてきた。
「蛍が泣いてる。今までなんの感情もなくていつも無表情だったのに……一馬くんのことはやっぱり覚えているのかもしれないわね」
俺は嬉しかった。もしかしたら蛍の潜在意識では俺に会えて喜んでくれてるのかもしれないと……それから俺は蛍に毎日会いに行った。
蛍は左の耳が聞こえづらいみたいだから俺は右側から話しかける。この位置は前と一緒だなと思った。俺の左側に蛍がいてくれる。あれから俺を見ても怯えないし涙をこぼすこともなかった。言葉を発することができなくて無表情のままの蛍を見ると記憶も戻ってる感じはしなかった。
蛍が倒れてから2ヶ月近くがたって症状も落ち着いてきたので高校の近くにあるリハビリ専門病院に転院することになった。
「こんにちは沢渡一馬です。今日も会いに来ました」
今日はベットの背もたれを起こして座っている蛍の右側から話しかけた。
でも……今日はいつもと違う違和感を感じたがなぜだかわからなかった。
「一馬くん、毎日ありがとう。高校大丈夫?」
おばさんはいつも俺を心配してくれるが俺が蛍に会いたいから来てると伝えると本当にありがとうと言ってくれた。
「そういえば今日はね、ずっとドアのほうを見ていたのよ。きっと一馬くんのこと待ってたんじゃないかと思うのよ」
それだ!俺が入ったら蛍が見ていてすぐに目が合った。いつもは窓のほうを向いてるのに……そうか、この時間に俺が来るってわかってきたのかもしれないと思うと嬉しかった。
「蛍、また一緒に遊びに行こうな。リハビリ大変かもしれないけど頑張れ」
俺は優しく蛍の頭を撫でた。俺に触られても拒否されることなく大丈夫そうで安心した。少しづつ回復してほしい。できれば記憶が戻って欲しいと思いながら蛍に毎日話しかけて俺は家に帰る。そんな生活をしていた。