姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 帝都で彼女が俺を見て逃げていった理由に合点がいった。声をかけてきたのが、自分の夫である皇帝だと気づいてのあの反応だったのか。
 出迎えにすら顔を出さない薄情な夫の姿を、彼女はどんな思いで眺めていたのだろう。その時の彼女の気持ちを想像すると、罪悪感に打ちのめされそうになった。
「すまない。帝都で声をかけてきた俺のことを、さぞ不実な男だと思っただろうな」
 頭を抱える俺に彼女は首を横に振り、さっぱりと言い切る。
「いえ。私だって『至高の華』の裏をかくように嫁いできたわけだから、そこはもう言いっこなしにしましょう」
 彼女の潔い性格は俺の目に好ましく、十二年前の出来事を抜きにしても惹かれずにはいられない。
 今となっては、サドニア神聖王国が騙し討ちのようにフィアンナを降嫁させてくれたことに、感謝してもしきれない。だが、そもそもなぜこんなに聡明な彼女が言葉も理解しないなどと評されているのか。
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