姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「えーっと。基本的に異存はないんだけど、すぐ上の姉は私に直接手を出してきたことはないわ。念のため、それだけ伝えておくわ」
 地を這うように呟いた俺に、フィアンナが律儀に付け加えた。
 道中で水も食料も奪われて、どんなに辛い時間を過ごしたことか。俺の妻をそんな状況に追い込んだ第一王女と第二王女は、絶対に許さない。
「ところで、阿呆なふりを貫く知恵や当時まだ六歳だった君が俺に語った鉱山枯渇やらの深い知識はどこで身に付けたんだ?」
 フィアンナが一切の教育を受けていないというのは調査報告からも明らかだ。ならば、彼女の聡明さはどこでどう培われたものなのか。大きな疑問だった。
「あー、それは……」
 核心を突く質問に、川での出来事すら隠さずに語ってくれた彼女の口が重くなる。
 言いにくいことをあえて追及するつもりはなかった。ただ、いつか彼女の信頼が得られた時には、教えてもらえたらいいと思う。
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