姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 ジンガルドは驚いたように目を瞠り、そうかと思えば突然両手を顔に当てて俯いてしまう。
 急にどうしたんだろう。しかも、指の隙間から覗く目もとや頬がやけに赤い。
 あぁ、もしかしてこの部屋が少し暑いのかもしれない。
「少し窓を開けましょうか」
 私が窓に向かおうとすると、なぜかジンガルドも後を着いてくる。
 彼は多忙の身だ。チョコレートだけ置いたらすぐ戻るのかと思ったが、そうではないらしい。
「ねぇジンガルド、もし時間があるなら庭を歩きながら少し話せるかしら? 実はお願いしたいこともあるの」
「もちろん君と庭を歩くくらいの時間はある。それで、お願いというのは?」
 窓脇の飾り棚にチョコレートの缶を置き、私たちは連れ立って庭に下りていく。
「私に教師を付けてほしいの」
「君に教師? ……専門知識に精通した数学者や社会学者を呼び寄せるとなると、さすがにすぐには難しいかもしれん」
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