姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 生垣近くに差し掛かったところで、天気でも話題にするような気軽さで爆弾を投下された。
「え?」
「君がここから護衛も連れずに出ていき、ひとり街を歩くなど想像するだけで心配すぎて俺の寿命が縮む」
 ジンガルドが『ここ』と言いながら指先で示すのは、私が通り抜けに使っている穴で。ふわふわとした心地が一瞬で霧散して、口もとが引きつった。
「知っていたの?」
 お忍びで帝都に出ていたのはお互い様といえばそうなのだが、正面から指摘されるとやはり少し気まずい。
「厳密には、昨日の点検で知った。君がどこから出ていったのかと考えた時、エリックがいる廊下からというのは有り得ないから、必然的に庭のどこかだろうかとは思った。それにしたって、まさかこんな穴から出入りしているとは驚いたよ。小柄な君じゃなければ、まず通れない」
 ジンガルドはもう私を離宮に閉じ込めておく気はないだろう。ならば、わざわざここを通って行く必要もない。
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