姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「もうここは使わないわ。次に帝都に行く時はあなたに言うから、その時は一緒に行ってくれる?」
私がジンガルドを見上げて口にしたら、彼は目に見えて狼狽えた。
あら?
「いえ、迷惑なら──」
「迷惑なわけがない! なにを置いても必ず行こう!」
勢い込んだ彼の答えに噴き出す。
さっき、ジンガルドは迷いなく『フィアンナがいい』と言ってくれた。私も、夫になるのがこの人で……。
「……よかった」
「そうか! それで、帝都にはいつに行こう? 明日は……いや、明日は一日政務が詰まっていたんだったか」
さっそく日程の算段をし始めるジンガルドを、じんわりと暖かな心地で見つめた。
***
俺が政務室に戻り、椅子に腰かけてひと息ついたタイミングでオズモルトがやって来る。
「なんの用だ?」
したり顔が鼻につくが、ふとここ最近はこの男らしからぬ引きつったような表情ばかり見ていたことに気づく。
私がジンガルドを見上げて口にしたら、彼は目に見えて狼狽えた。
あら?
「いえ、迷惑なら──」
「迷惑なわけがない! なにを置いても必ず行こう!」
勢い込んだ彼の答えに噴き出す。
さっき、ジンガルドは迷いなく『フィアンナがいい』と言ってくれた。私も、夫になるのがこの人で……。
「……よかった」
「そうか! それで、帝都にはいつに行こう? 明日は……いや、明日は一日政務が詰まっていたんだったか」
さっそく日程の算段をし始めるジンガルドを、じんわりと暖かな心地で見つめた。
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俺が政務室に戻り、椅子に腰かけてひと息ついたタイミングでオズモルトがやって来る。
「なんの用だ?」
したり顔が鼻につくが、ふとここ最近はこの男らしからぬ引きつったような表情ばかり見ていたことに気づく。