姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 父の他にも王子王女、高官と思しき男たちが一堂に会している。なぜか王妃様の姿はなかった。
 ……なるほど。美女ばかりを娶って血を繋いできた王家の男だけのことはある、顔だけはとてもいい。
 これが父を前にして、真っ先に抱いた感想だった。
 実を言えば、王宮に足を踏み入れたのが物心ついてから初めてなら、父と直接顔を会わせるのもこれが初めて。頭の弱いふりをするまでもなく、にやにやしながら物珍しく観察してしまう。
 侍従に促されてもカーテシーをする気配すらなく、にやけた顔で立ち尽くす私に父は眉を潜め、高官たちはざわついた。
 父は困惑する侍従を制し、仕切り直しするかのようにひとつ咳ばらいをしてから居丈高に告げる。
「第四王女フィアンナ。そなたにタイラント帝国への降嫁を命じる」
 私が是とも否とも答えずにへらりとした笑みを返せば、控えていた高官たちに動揺とざわめきが広がる。
 ……突然降って湧いた結婚話。さて、その真意はなんだろう。
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