姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
オズモルトは俺の怒りを飄々と受け流し、おもむろに手を伸ばす。
「おい! 俺の薔薇に勝手に触るな」
卓上の『幸運を呼ぶ赤い薔薇』がつつかれそうになるのを見て、慌てて奥に引っ込める。
「え~、そんなケチケチしないでくださいよ」
なんと言われようと、俺の薔薇にこの男の手垢がつくのは見過ごせない。
「フン」
オズモルトがヤレヤレと肩をそびやかし、ふいに思い出したようにこぼす。
「そういえば、昨日から帝宮内の庭という庭の花々が瑞々しく咲き乱れているようですよ。もしかして、ジンガルド様とフィアンナ様の恋の成就を花たちも祝福しているのかもしれませんね」
「そんなわけがあるか」
「いいじゃないですか。夢があって」
「まぁ、たしかに夢はあるがな。それよりオズモルト、五日後の午後だが──」
この時、俺は花の生育に関するこの話題が持つ意味を深く考えることもなくサラリと流し、次の話に移ったのだった。
「おい! 俺の薔薇に勝手に触るな」
卓上の『幸運を呼ぶ赤い薔薇』がつつかれそうになるのを見て、慌てて奥に引っ込める。
「え~、そんなケチケチしないでくださいよ」
なんと言われようと、俺の薔薇にこの男の手垢がつくのは見過ごせない。
「フン」
オズモルトがヤレヤレと肩をそびやかし、ふいに思い出したようにこぼす。
「そういえば、昨日から帝宮内の庭という庭の花々が瑞々しく咲き乱れているようですよ。もしかして、ジンガルド様とフィアンナ様の恋の成就を花たちも祝福しているのかもしれませんね」
「そんなわけがあるか」
「いいじゃないですか。夢があって」
「まぁ、たしかに夢はあるがな。それよりオズモルト、五日後の午後だが──」
この時、俺は花の生育に関するこの話題が持つ意味を深く考えることもなくサラリと流し、次の話に移ったのだった。