姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「え? だってお相手がフィアンナ様と分かったからには、これから正式にお披露目や挙式もされるのでしょう? お腹が大きくなってしまったら、ドレスだって綺麗に着られないじゃないですか……って、そんなに眉間に皺寄せてどうしたんです?」
 揶揄っているわけでもなく至極真面目に言われてしまうと、己の過剰反応が逆に恥ずかしく思えてくる。
「俺とフィアンナはそんな爛れた仲ではない」
「……え。どんだけ奥手なんですか。というか、いい年して爛れた仲って……さては! ジンガルド様ってば、長年の童貞を拗らせて、すっかり初夜に夢持っちゃってますね!? うわぁ~、純情だなぁ」
 内心の動揺をひた隠して告げれば、オズモルトにおちょくられて怒髪天を衝く。
「うるさい! とにかく、俺たちには俺たちのペースがあるんだ」
「はいはい。それにしても、眉唾かと思っていたのに侮れませんね~。私にも、陛下の幸福のおこぼれを期待していますよ」
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