姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 少なくとも、アイスクリームを食べるところをまた彼に注視されて平静を保っていられる自信はない。
 ジンガルドは特に異論を唱えることもなく、すんなりと頷く。
「そうか。では、アイスクリームは次の時の楽しみにとっておこう」
 ジンガルドが私の手から空の包みを受け取って、自分の分と一緒にゴミ箱に捨ててくれる。
 さりげない気遣いに感心する。
「ありがとう」
 彼のこういうところ、すごくいいな。
「なに。せっかくだ、腹ごなしにもう少し歩くか?」
「ええ、いいわね」
 私が賛同すると、ジンガルドに再び手を取られて、手繋ぎで歩きだす。
 その後も私の鼓動はずっと速いままで、頬も逆上せたみたいに熱いまま。だけど、けっしてそれが不快じゃない。
 ……ううん、不快どころかずっとこうしていたいとすら思えるわ。
 大きな手に包まれていると、不可思議な高揚と安心感が同時に得られた。
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